◆上司に媚びを売るなんて・・・
先日実施した営業研修でこのような発言がありました。「私は社内営業が大嫌い。上司に媚びを売ってまで評価を得たいとは思いません。営業にとっては社内の評価よりも社外、お客様の評価の方がよほど重要。」別の受講者の方もこのように言いました。「俺たち営業が仕事を獲ってきて、食わせてあげているのに、社内の人間に偉そうに言われたくない。」それらの発言を聞いて私は非常に残念に感じました。どちらの発言も、自身の営業活動に自信と気概を持っていることは素晴らしいのですが、その数字は果たして自分の力だけでつくることができたのでしょうか。社内のメンバーの協力はなかったのでしょうか。
◆営業は自身の給料の〇倍の粗利益を稼ぎ出せ!
昔から言われることです。営業は自身の給料分の粗利益を稼ぐことで満足してはいけません。業種、業界によって異なるのは事実ですが、少なくとも3倍。できれば5倍の粗利益を稼ぎ出す必要があります。なぜなら、営業に関わらないメンバーの人件費、その他物流費、光熱費、家賃などの諸経費もお客様から頂く粗利益でまかなわなければならないからです。よって、「営業が食わせてやっている」という感覚が生まれてくるのでしょう。しかし、いまの時代、その考え方は正しくもあり、間違いでもあります。なぜならば、ほとんどの会社で営業活動が分業化されているからです。営業人材の採用、マーケティング、チラシ作成、テレアポ、営業事務、納品、配送、など様々な部署の様々なメンバーの協力があって受注を獲得でき、売上を立てることができています。そう考えるならば、決して営業だけがお客様に評価されているわけではありません。社内全体がお客様より評価され、粗利益を頂いているのです。まさに全社営業体制です。だから営業はメンバーに感謝の気持ちを忘れてはいけません。日頃から社内のメンバーに感謝するからこそ、いざと言うときにフォローをしてもらえるのです。
◆上司と良好な関係を保つ必要性
先に述べた「営業にとって上司の評価は必要ない」という発言は次の点で誤りです。一つ目が、上司に信頼されなければ、重要で良い案件がまわってこない、ということ。二つ目が、上司は忙しくしており、たとえ、営業が成果を上げたとしてもその全てを把握することは難しい、ということです。よって、日ごろから上司と報連相を密に行い自身の成果を認識してもらう。そして、信頼を勝ち取り、大きな仕事を任せてもらうことが重要です。
以前、このコラムでも述べたことではありますが、理想通りの上司に巡り合うことなどありません。会社は矛盾の宝庫ですので、上に立つものが常に優秀とも限りません。しかしながら、「ウチの上司はダメだから評価など要らない」などと愚痴文句をこぼしたところで上司を代える人事異動の希望はほぼ通りません。また、上司の性格や態度を変えることも非常に困難です。どのような上司であっても、人間関係を築き、営業の仕事をし易くする方が、余程理に適っているのです。
◆理想的な社内営業のやり方
それでは、ただの「媚び」ではなく、成果につながる社内営業のやり方はどのようなものでしょうか。以下解説します。
1.上司の信頼を獲得する
人間は感情の動物です。正論や実績も重要ですが、上司の感情に訴え「可愛がられる」ことは更に重要であり、仕事のやり易さにつながります。そのために必要なのが次の通りです。
①自己開示
仕事のミスやプライベートも恥じずにさらけ出してください。
②報連相の頻度とスピード
タイムリーに報告し、小さなことでも相談する。上司との接触回数をいかにふやしていくかが重要です。
③自分の意見を発信する
「私はA案が良いと思います」時には自分の意見を発信するのも上司にとってはうれしいものです。
④感謝の言葉を述べる
褒められるより嬉しいのは感謝。「助かります。ありがとうございます。」の言葉は口に出す。
2.メンバーと良好な関係性を保つ
メンバーと良好な関係性を保つことで非常に営業がしやすくなりますし、困ったときに助けてもらうことにもつながります。そのために重要なのが次の通りです。
①声がけ
爽やかな挨拶、ちょっとした声がけを大事にしてください。
②お客様の声のフィードバック
お客様から声や意見、営業が気づいたことはすぐに社内に共有。
③感謝の言葉を述べる
上司に対してと同様、社内メンバーに対しても感謝の言葉を投げかけることは非常に大切なことです。
3.実績を上げる
そもそも、社内営業だけが上手くても、数字が上がらなければ上司にも、メンバーにも「色々と手伝ってもしかたがない」、と愛想をつかされてしまいます。皆の期待を背負ってるんだという責任感を持ち、受注につながる提案をしましょう。そのために営業スキルアップと自己研鑽を忘れないこと。
【ポイント】
社内営業を疎かにしてはいけない。成果を上げる営業に共通していること、それは、社外の評価と同時に社内の評価も非常に高いということである。
株式会社経営支援センター チーフコンサルタント 吉田 敬真