はじめて会ったお客様と会話ができない

はじめて会ったお客様と会話ができない

2025/11/01

はじめて会ったお客様と会話ができない

ある若手営業担当者の悩み

    本日は終日、金融機関の某総研主催の営業セミナーに登壇していました。「売れる営業に変身する一日講座」というテーマで、15名の中堅・若手営業担当者に向け、研修を行いました。営業の心構え、信頼関係のつくり方、商談の流れを解説した後、最後はいくつかテーマを設定し、ロープレ大会。非常に熱心な受講態度で、アンケートの評価も上々。しかしながら、研修の中で非常に気になる点がありました。それが、飛込みで訪問したお客様との商談ロープレの場面です。初対面の方と全く会話が出来ないのです。しかも1人ではなく、受講者のうち3分の1の方が非常にぎこちないやり取り。話を聞いてみれば、自社でよく飛込み営業は行っているとのこと。案の定、ほぼ成果は出ていません。これでは、いくら商品知識の勉強を行ったところで商品説明を行う前に門前払いを食らっているはずです。また、質疑応答を行っても複数名より「新規訪問の場面で会話を広げることができない」という悩みの相談を受けました。リーダーの皆さん、部下の結果が出ていないのを商品知識や提案力不足と考えていませんか?実はそのレベルに達してもいないケースが多いです。会話すらできていないのです。

◆はじめて会ったお客様と会話を広げるコツ

    それでは、はじめて会ったお客様と会話を広げるコツを解説します。毎回会話の展開に困っているにも関わらず、対策を打たずに初訪を行っている方も多いです。

①まずは社内で徹底的に練習(ロープレ)
    過去、本コラムでも解説しましたが、ロープレは非常に重要です。社内でできないことが社外でできるはずがありません。ロープレで経験を積めば、自信を持って本番(実際の営業の場面)に臨むことができるようになります。超高収益企業として有名なキーエンスでは毎日のようにロープレを行っています。短時間、テーマを決めてロープレの時間をつくることを定例、習慣化してください。

②元気な挨拶と身だしなみ
   お客様は真っ先に欠点を見ます。最初与えた第一印象は一生を通じてほぼ変わらないという現実があります。元気な挨拶、爽やかな笑顔、そつのない身だしなみをまずは心がけましょう。また、元気に挨拶をするだけで、「感じいいね」、と話が展開することもあります。

③台本(トークスクリプト)を準備する
   はじめて会うお客様に対して毎回話す内容を変えることは非効率であり、ベテランでもない限り必要はありません。パターン化するべきです。それが台本の準備です。飛込みで訪問した際の最初の挨拶のやり方や、問合せがあったお客様への入り口へのトークはあらかじめ準備してください。使いまわすことで、恐怖が薄れ、タイミングや間の取り方など、改善されていきます。

④冒頭で今回の商談の所要時間を伝える
 会話の冒頭で「30分いただきたいです」と今回の商談の時間を伝えます。飛込みで「3分」と言えば実際には「10分、15分」は確保できる場合も多いです。また、あらかじめ商談時間を決めると、ゴールを見据えた話の展開が可能となります。

⑤訪問目的を伝え、確認を取る
    飛込み営業であれば、「この地区の担当となったので、挨拶周りをしている」、反響営業であれば、「HPよりお問合せをいただいたので、説明でおうかがいした」、などと伝え、お客様にも理解をしてもらってください。

⑥会社の紹介
    自社の取り扱い商品、強みから歴史、社長の想いまで、相手の不信感を払しょくするためにも説明をできるよう訓練しておくこと。

⑦自己紹介
    営業についてまだ日が浅くても「まだ新人ではありますが、精一杯御社のお役に立てるよう頑張ります」など元気よく伝えてください。また、自己紹介も場面に応じて変える必要はありません。シンプルでわかりやすい表現を用意しておきましょう。

⑧雑談の展開
    ここにつまづく担当者が多いです。そもそも相手との距離を縮めなければ会話は弾みません。ポイントは下記の通りです。

話のきっかけ⇒「相手の名前の由来」、「天気」、「今日のニュース」、「いまいる場所について」、「相手への質問」、などが鉄板のきっかけです。

言葉のキャッチボール⇒投げるボールは「ほめ言葉」、「自己開示」など。

相手との共通の部分を見つける⇒キーワードはJKT(事実、経験、好み)です。「事実」とは出身、家族構成、誕生日など。「経験」とは趣味、部活、旅行、など。「好み」は食べ物など。共通の部分が見つかれば共感が得られます。

タブーに気を付ける⇒外見、プライバシー、年齢、宗教、政治の話は初対面では話題に出さないこと。

相手をほめる、感謝する⇒初級はモノをほめる、中級はその人自身をほめる。上級は「ありがとうございます」と感謝の言葉を伝えることです。

沈黙の回避⇒話題転換のための「ところで」、会話を弾ませる「しかも」などの言葉は沈黙を回避することができます。

⑨宿題をつくる
    一回の商談で成果があがることはほぼありません。重要なことは次回会う口実をつくり、次回のアポ日程を商談の最後に調整することです。「次回、見積もりを説明します」や「サンプルを持参します」などと、必ず自分から宿題をつくりアポ設定してください。

【ポイント】   

成果が上がるかどうかは初回の商談で決まる。お客様との距離を縮め信頼を勝ち取るべく万全の対策を打て。

株式会社経営支援センター チーフコンサルタント 吉田 敬真

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