クレーム対応のやり方

クレーム対応のやり方

2025/09/01

クレーム対応のやり方

クレーム対応のエピソード

    17~8年ほど前、経営支援センター(当時の名称はブリングアップ)に入社して間もないころのエピソードです。たまたま事務所には私の後輩を含め3名。お客様より電話がかかってきましたので私が対応しました。「〇〇のシステムについて、分からないことがあり教えてほしい。」専門外の私は、「申し訳ございません。いま担当が不在ですので、改めてご連絡申し上げます。」と回答しました。ところが急に、「ちょっと待て、同じ会社で共有してないのか?会社としてどうかと思うぞ」と、明らかに怒りのトーン。いくら説明しても収まらず、結局30分ほど電話口でまくし立てられました。後に上司に報告したところ、「ああ、あそこは注意しないといけない先だ。以前も似たようなことがあった」と、同情されましたが、しばらく電話恐怖症になったのをいまでも覚えています。

◆クレームは無くならない。一次対応は全社員ができるようにする

    サービス向上のため「クレーム撲滅」をスローガンとして掲げる会社も多いです。しかしながら、①撲滅を強要する余り、発生したクレームが報告されず、握りつぶされる。②クレームの中には企業側に非のない、悪意のあるクレームも存在する。等の理由で一概に「撲滅」を謳うのは危険でもあります。スマホの普及でお手軽にクレームができるようになったため、また価値観が多様化したため、発生件数がこの30年でおよそ10倍に増えたとも言われます。クレームを撲滅すること自体が難しいのです。  

    一方、不満を抱いたお客様のうち90%のお客様は何も言わず去っていきます。残り10%の口うるさいお客様は、誠実に対応すれば、ファンになってくれる可能性もあります。私も過去、一度クレームを受けたお客様に対し丁寧な対応を行うことで、その後、大型研修の契約を頂けた経験がありました。つまり、いまの時代は、「クレームを減らす」努力は重要ですが、「起こってしまったクレームに適切に対応する」のはなお一層重要になっているのです。

◆クレーム対応の手順

    では、起こってしまったクレームに対する適切な対応はどのようなものでしょうか。それが次の通りです。

①第一印象の重要性

    怒りの感情も相手の誠実で丁寧な初動対応により和らぎます。某役所で電話対応の研修を行ったところ、クレームの対応時間が3分の1に短縮しました。「お電話ありがとうございます!〇〇の吉田です!」と明るく元気に爽やかに対応されると、クレームをしようと電話したお客様も怒りがトーンダウンするのです。

②まずは謝罪

    「謝ってしまってはこちらの非を認めることになるので、なるべく謝罪はしないでおこう」と考え、極力謝罪のセリフは言わずに対応していませんか?その対応は誤りです。なぜなら、どちらが非があるかに関わらず、「お客様が怒っている」のは事実だからです。

まず最初の謝罪は、お客様の心情にスポットライトを当てて、「ご不快な想いをさせてしまい申し訳ございません」が正解です。勉強のため、大手のサービス業(航空業のカウンターなど)でクレーム対応の現場を観察してみてください。見事なまでにどの会社も「ご不快な想いを・・・」の謝罪を行っています。

③しっかりと事情をきく

    クレームとわかるや否や、すぐに「返金します」、「交換します」などの対応をする組織もありますが、火に油を注ぐケースも多いです。お客様は「解決してほしい」と同時に「この気持ちを理解してほしい」からクレームをしているためです。よって、しっかりと事情、経緯を話させてください。できる限りお客様の怒りの感情を鎮めることが重要です。ここまでは一次対応で全社員ができるようになること。次のステップからは役職者に交代しても構いません。

④事実確認

    お客様は事実と心情を混同しています。「何が原因か」、「損害が発生しているか」、「原因と損害に因果関係があるか」をもとにしっかりと事実を判断してください。

⑤解決策提示と感謝

    解決策の提示は、「返金します」などの一方的な提案ではなく、「もし、ご返金という対応でしたら、ご理解いただけますか?」とお客様の心情に配慮した問いかけをしてください。また、最後に「このたびは私どもの至らない点を教えていただきありがとうございました」と感謝の言葉で締めることによって、リピートにつながるケースもあります。

◆クレーム対応、その他注意すべきこと

    その他、クレーム対応で注意すべきことは以下の通りです。

①組織対応(数で負けない)

    あるラーメン店で女性アルバイトに対し店外で、「俺が何か悪いことを言っているのか?」などと攻撃をしているクレーム客がいるのを見かけました。一向に静まりませんでしたので、私は店内入りに複数名での対応を促したところ、すぐにトーンダウンしました。クレームが発生した際、「怒られるのが私じゃなくてよかった」という組織はクレームに非常に弱いです。組織対応が原則です。

②マニュアル、記録をつくる

    一度発生したクレームは記録を取り、組織で共有。二度と同様の事象が発生しないようにしてください。また、発生時の担当や対応方法など、マニュアルを作成しておくことも効果的です。

③クレームが起こりにくい管理体制

    やはり、クレームが発生しにくい顧客対応・サービス向上は必要です。日頃から、基本の徹底を目指し社内教育を進めてください。

ポイント   

クレームをゼロにすることは難しい。しかし、同じクレームを二度三度繰り返すことは命取り。全社を挙げて対応力を向上し、クレームに強い組織を創り上げろ。

株式会社経営支援センター チーフコンサルタント 吉田 敬真

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