■儲からない企業は儲からない理由がある
物価高騰が止まらない。今後も3%程度のインフレは10年続く。企業は生産性を高め社員の賃金を確実に引き上げなければならない。しかし現実は70%の企業が赤字だ。赤字企業に継続した賃上げが出来るわけがない。そんな企業は市場から撤退、つまり淘汰される。儲からない企業には、しっかりとした儲からない理由がある。共通しているのが次の8点。
①目標達成意欲が低く未達でも許される
②出来ない理由を並べる集団となっている
③変化を嫌い変化から逃げる
④人を育て上げる風土がない
⑤チャレンジ精神が希薄でやり切る力も弱い
⑥主力取引先、主力商品が変わらない
⑦毎年粗利益率が低下している
⑧能力無い幹部が堂々と居座っている
儲からない企業はビジネスモデルだけが問題ではない。実際は企業風土、企業体質による所が圧倒的に大きい。
■利益の上がる 「 企業体質 」の創り方
答えは至ってシンプル。経営陣、管理職が全身全霊で人生を仕事にかけているかどうかである。日常業務における利益の上がる「企業体質」の創り方は次の6点。
1.規律、基礎、基本の徹底力
社用車がピカピカ。身だしなみもキッチリ。整理整頓がされた倉庫。社員用のトイレ、更衣室、食堂もゴミひとつ落ちていない。会議は3分前には集合し必要な資料も配布済み。決算書を見るまでもなく社員一人ひとりの規律、基礎、基本を見るとその会社の業績が瞬時に分かる。それこそ企業の真の体質である。
2 .学業優秀より理念共感を優先し採用する
学業優秀とビジネス優秀は全く異なる。東大を卒業し大成功した起業家は日本マクドナルド創業者、藤田田(デン)氏。リクルート創業者、江副浩正氏くらい。一流大学を出てもプライドが高く素直さに欠け伸び悩む人材も数知れず。それに比べ理念共感者はこの会社とともに自ら成長したいと言う強い想いがある。その人材集団が企業体質となり高収益が実現できる。
3 .人が育つ土壌がある
生産性高いリーダーは人間力と専門性を持ち合わせている。仕事が出来ても人間力を感じないリーダーは人を育てることが出来ない。それどころか部下のモチベーションが下がり結局辞めていく。そこにも大きな勘違いがある。「能力、ヤル気がないから辞めていくんだ」と。結果的に部下を業績を上げるための駒としか思っていないのだ。どんな人間にも現在地(いまのレベル)がある。それを正しく把握し成長を促す。これこそ人が育つ土壌となる。
4 .スピード、スピード、スピード第一主義
スピードとは利益の上がる企業体質を判断する最強のモノサシ。ITやネットを駆使するだけではあらゆるスピードに対応は出来ない。ズバリ、スピードとは全社員の目標達成に対する危機感に尽きる。気になる、心配だ、何か足りない、と言った不安が頭をよぎる。だからこそスピーディーな報連相となり、最悪なシナリオも想定し対策が打てるのだ。特急電車は特急料金を払う。高速道路も高速代金を払う。「速い」は付加価値であり顧客から見ると熱心に映る。
5 .社員一人あたりの売上総利益額を最大化せよ
不動産業界の様に粗利益率は低くても、粗利益額が大きい。百均のダイソーの様に価格は安いものの粗利益率が40%を超え営業利益率も10%以上。この様なモデルでないとなかなか利益をたたき出せない。特に重要なことは社員一人あたりの粗利益だ。販売業は社員一人あたり年間1,500万円の粗利益。メーカーなら原価償却費にもよるが年間2,000万円以上は確保したい。
6 .薄利多売、ストック型モデルは儲かるのか?
経営環境が大きく変わった。いまや和歌山県、一県に等しい90万人の人口が減少している。薄利多売と言う考え方は理屈に合わない。ストック型モデルもそうだ。例えば賃貸管理。管理戸数を競っている大手と言えども売上高の割に社員数が多く営業利益率も極めて低い。人手不足、賃金上昇でこれから先、利益を出せるのか、をシビアな判断が必要。時代とともに儲け方は変わっていく。
■幹部の考え方と生き方が企業体質となる
創業経営者で高い収益力を誇る企業は実に分かりやすい。「赤字は悪」、「物心両面の豊さの追求」覚悟が違う。強烈なリーダーシップを発揮し、時にはオニの様に恐く、時には仏の様な優しさ、愛情を感じる。幹部はミニ経営者たれ。幹部の考え方と生き方が人を育て上げ収益力高い企業体質となる。
株式会社経営支援センター 国吉拡
ワンポイントトーク
【儲からない企業はただ淘汰されるのみ。幹部は強い意志で生き残る会社を創り上げよ!】