商談前の事前準備の重要性

商談前の事前準備の重要性

2025/10/01

商談前の事前準備の重要性

◆アポイントはただの時間の約束ではない

    ある建売業者様で、現地案内の若手営業に同行した際のエピソードです。吉田「今日の案内はネットからの問い合わせですよね?ご夫婦でいらっしゃるのですか?」担当営業Aさん「多分、ご夫婦で来られると思います!」吉田「本当ですか?ご夫婦でくるか、どちらか一方しか来られないのかで成約率は大きく変わってきますよ。」Aさん「電話口でお話を聞く限り、一人で来ることはないと思います!大丈夫ですよ!」
    約束の時間にお客様がいらっしゃいました。結局、ご主人一人だけの来場。「お一人なんですね・・・」その営業は挨拶をしながらも、バツの悪そうな表情で、私の方を見てきます。案内中はまずまずの反応。案内後、そのお客様は「良いと思うけど、家内と相談してまた連絡します」とのコメント。案の定、結局理由を付けて再来場を拒み、音信不通となりました。これはアポ設定の際のミスです。「お二人でお話ししながら一緒にご覧いただければ、購入後の生活がイメージできますよ。」、「是非お二人のご要望をお聞きしたいです。」など、一人で来場させないアポ設定はいくらでもできます。営業は、いざ商談の現場だけでなく、事前準備の段階でその後の成約率が変わってしまうのです。

◆営業とは事前準備で決まる

    営業力とは、実際の商談現場の話法やクロージングも大事ですが、商談前の事前準備の方がはるかに重要です。いわゆる「準備・段取り」です。事前準備としてしておくべきことをザッと上げただけでも①情報収集、②訪問目的の設定、③キーマンを同席させるアポイント設定、④資料やツールの準備、など数多くあります。特にリーダーは自身が同行しない商談でも部下の事前準備の状況はきちんとチェックする必要があります。

◆事前準備としてしておくべきこと

    それでは、商談前に事前準備としてしておくべきことを順番に解説します。

①情報収集
    いまの時代、その気になればネット、その他の媒体を通じて様々な情報が即入手できます。法人営業であればその企業のホームページを見れば事業内容や商品・サービス内容、社員数や売上規模などの情報の他、取引先や取引銀行の情報までも入手できます。しかし、集めるべき情報はその企業に限りません。可能であれば競合他社の情報や業界動向も入手してください。顧客にとって役に立つ営業の条件に、業界動向に詳しく、具体的な情報を持っているという点があります。「業界や我が社」をよく理解していれば信頼を勝ち取ることができ、一般論に終始した提案ではなく、ピンポイントの提案をすることができるのです。また、過去、自社と取引があったか、前任や前々任がどのようなアプローチしていたか、などの自社の情報も出来る限り収集してから訪問をしてください。

②訪問目的の設定
    安易な表敬訪問はほぼ意味がありません。昔は営業の世界ではよく言われていました。「何でもよいから訪問しろ。顔を合わせることで親密度が深まっていくのだ」などと。いまの時代、お客様も忙しくしており、理由のない訪問は迷惑でもあります。「競合の情報を得る」、「ニーズをヒアリングする」、「クロージングを行う」などの明確な目的を設定した上で訪問をした方が、受注までのスパンも短くなり、効率が上がります。また、「サンプルをご覧いただきたい」、「他社様の情報をお持ちする」などとお客様にもきちんと目的を伝えた方が、アポ取得の確率も上がります。リーダーは、部下の今回の商談が「アプローチ」、「ヒアリング」、「提案」、どのフェーズの商談なのかきちんと把握をしておくことが大切です。

③キーマンを同席させるアポ設定
    アポイント設定とは「とりあえず時間を約束する」ことではありません。これも、ある会社様で営業同行をした際のエピソードです。訪問の前に「いまからの訪問は誰が同席するのですか?」と尋ねたところ、「先方の担当者以外、誰が出てくるか分からないです」という回答。訪問すると、担当者のみ対応で、予想通り、ただの雑談に終わってしまいました。商談は出来る限り相手企業のキーマンに同席いただかなければ決まるものも決まりません。アポイントの段階でキーマンを同席させるため、「私の上司である部長の〇〇が同行しますので、ご挨拶で〇〇常務も同席いただければ嬉しいです。」とか、「新商品発売の前に懇意にさせていただいている御社には特別にご案内したいので、社長はいらっしゃいますか?」などと工夫した言い回しでアポ設定してください。個人相手の営業も同様です。家・車・保険などの高額商品は、一人ではなくご夫婦、ご家族みな同席させるアポイントを心がけなければなりません。

④資料、ツール、サンプルはきちんと準備
    商談をイメージし、必要と予測される資料、ツール、サンプルは必ず用意しておいてください。営業カバンが軽いのは機動力が上がり良いというわけではありません。色々なケースを想定し、ドラえもんのポケットのごとく、様々な資料が出てくる営業カバンは商談のポイントポイントで非常に有効となります。

⑤上司は商談前に部下の事前準備の状況をチェック
    手間はかかるものの、部下の商談の事前準備はきちんとチェックをしてください。例えば、朝礼などで今日の予定をしっかりと確認。部下の予定発表に対し、鋭く「目的」、「誰に会うか」、「今回の成果」などを確認し、的確なアドバイスをするのが、受注率アップの秘訣です。意外とできていない上司も多いです。

ポイント   

その商談は事前準備をしっかり行い、本当に万全な対策を取れているか?ぶっつけ本番で成約に至ることはほぼなし。いまこそ上司は準備の状況に鋭くチェックを入れよ。事前準備を行えば行うほど、商談の精度があがっていく。

株式会社経営支援センター チーフコンサルタント 吉田 敬真

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