報連相を見直し、そして徹底せよ(2021年8月号)

報連相を見直し、そして徹底せよ(2021年8月号)

2021/08/01

報連相を見直し、そして徹底せよ(2021年8月号)

報連相は業績を映す鏡

急速に進歩するデジタル化の一方、報連相の弱い組織が本当に目立つ。報連相の弱い組織は情報共有がなされてなく、顧客対応が後手後手だ。失注や大きなクレームの原因ともなる。「報連相は業績を映す鏡」過去も、今も、未来も高業績企業の絶対条件。私が業績向上のコンサルティングに入る際、まず取り組むのが「報連相」の徹底である。その要因を鋭くつくことで短期間で業績が向上する。逆に言うと業績低迷企業は報連相が鈍く、遅く、的がズレまくっている。

一人ひとりの社員の危機感が的確な報連相となる

報連相が徹底できている組織の思考の本質は「企業存続」にある。創業から10年でほとんどの企業は消えてしまう。経営とは戦いだ。情報を共有し、最善な戦略、施策でスピーディーに行動する。これが存続の秘訣だ。なぜ報連相が必要なのか?その根っ子にメスを入れない限り、質の高い報連相はいつになっても実践できない。

報連相のメリット

報連相は業績を上げる最強のツール、システムだ。いくら仕事の生産性が高くても報連相の弱い人材は職人気質となり、結局過去の人となる。今、業績が好調でも報連相がイマイチ機能していなければクレーム多発で、いずれ落ち込む。具体的に報連相の徹底によるメリットは次5点。

1. 先輩のノウハウが短期間で自分のものになる

何年もかけて習得、体得したノウハウ。報連相により、そのノウハウを一瞬にして盗み取ることができる。インターネット上での情報とは質が全くことなる。実践に基づいたノウハウは、すぐに役立つ。仕事とはT・T・P(取って、取って、パクる)が基本だ。

2. 価値判断基準の共有ができる

報連相によって、この場合はどう判断をするか、という生きた学習を経験する。頻度が多ければ多いほど、様々な判断基準が体に刷り込まれていく。いくらAIの技術を持っても現場におけるとっさの判断は人間にしかできない。スピード経営とは価値判断基準の共有が大前提。スピード無き企業は市場の変化についていけず、いずれ淘汰される。

3. 仕事の精度、商品・サービスの品質が高まる

先日の話し。コンビニでペットボトルを3本購入。そのペットボトルをレジ袋に入れたときの持っている場所にやんわり注意した。飲み口を平気で持って入れているのだ。このような体験をした方も多いはず。翌日、同じコンビニで買い物をした。すると、ペットボトルの下を持っての対応。回りのレジでも同じ光景。きっとクレームを共有したはずだ。

4. 誰からも信頼、好かれる人材となる

報連相がタイムリーにできる人間は大きなミスが極めて少ない。経過報告をすることで軌道修正がいち早くできるからだ。何よりもマメな報連相は成長したい、教えてもらいたい、という「素直な心」を強く感じる。誰からも信頼され、好かれる人材となる。同じ働くなら、そのような人間と苦楽を共にしたい。これが人間の本音である。

5. コミュニケーション能力が高まる

ビジネスでは大学の偏差値より、コミュニケーション能力が優先する。コロナ禍で「対面」が極端に減少。更にはデジタル化でスマホを活用したコミュニケーションツールが花盛りである。最近の新入社員研修で驚くのは電話応対だ。以前より3倍の時間を使い電話応対の訓練をしている。若手社員のコミュニケーション能力に悩むリーダーも多いはず。その解決策こそ報連相の徹底にある。低いコミュニケーション能力が低い生産性へと見事に直結する。

日常業務における報連相の留意点

どの人材においても報連相をしっかりやっているか?と聞くと、ハイやっています。と返事がある。しかし、モレ、精度、タイミングが研ぎ澄まされていないことが多い。日常業務における報連相の留意点は次の7点。

① 事前報告、経過報告、終了報告の徹底

指示する立場の人間は期限を設定することが重要だ。基本的なスタンスとして、仕事の現状、流れ、仕上がり予定を事前報告。進捗、途中での品質を確認する経過報告。最終チェックを受ける終了報告。このプロセスで人は育っていく。

② 重要報告は念には念を入れろ

緊急を要する報告事項。即メール対応。しかし上司がそのメールを見たのが数時間後。よくあるケースだ。緊急、重要性の高い報告は、メール、電話、留守電の活用。更には同じ部門、部署の人間への言付けまで念には念を入れることだ。30分の報告遅れが原因で大型案件の失注、大クレームにつながることも少なくない。

③ 悪い報告が最優先

悪い報告→①リーダーによる感情的な叱責→②部下の萎縮→③悪い報告を隠す体質。この悪循環に陥ると、悪い報告を隠ぺいする体質となる。正しくは、悪い報告→①対策の具体的指導→②原因究明→③再発防止策→④問題の最終確認の流れで進むべきである。

④ ささいな報告怠るな

偶然にも部下が取引先の社長と駅でばったり。お昼時間だったのでご馳走になった。それを知らず別件で社長との商談。話しに部下の名前が出てくる…。本当に冷や汗をかくとはこのこと。報告があればうちの○○が大変ご馳走になりまして、とお礼が言える。ささいな報告を怠ると、これまで築きあげた信頼がもろくも崩れてしまう。

⑤ 自分で解決できる問題であっても確実に報告せよ

これくらいは自分で解決できる、報告する必要なし。この思考回路が大問題。自分自身での小さな問題が組織においたら大問題になることも充分にありえる。いま顧客との間で何が起きているのか?その情報を素早くキャッチすることでクレームは未然に防ぎ、提案はより的確になる。

⑥ 悪い報告はその3倍、良い報告は半分とみなせ

常に最悪を想定し見通しを立てろという意味だ。その考え方が業績を組み立てるベースとなると見通しが結果となる。特に悪い報告は複数の人間に「君はどう想うか?」と意見を聞くことで問題の本質がうきぼりになってくる。一人の悪い報告の全てを信用してはいけない。

⑦ 顧客にもタイムリーな報連相とレスポンスの実践を

顧客が気になると必然的にマメになるものだ。一刻も早く伝えたい。安心させたい、喜んでもらいたい、それがタイムリーな報連相やレスポンスとなるのだ。顧客から見ると信頼でき、何よりも熱心な人間と受け入られる。

報連相上手は顧客の心に突き刺さる人材になる

報連相は人間力を磨き短期間でノウハウやスキルを身につけることができる。若手の活躍が目立つ企業はすごい勢いがあり、業績も素晴らしい。それこそ報連相の実践が生み出しているのだ。このような人材は顧客のふところに飛び込み、そして突き刺さる提案と好印象を与える。「報連相を見直し、そして徹底せよ」できて当たり前で、あまりにも基本的なこと。しかし、そこを軽視すると業績は絶対に上向かない。

(経営支援センター 国吉 拡)

ワンポイントトーク

【報連相は部下の成長を加速させる最強ツール。リーダー自ら部下への報連相を徹底せよ!!】

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