不透明な時代は原理原則に立ち戻れ

不透明な時代は原理原則に立ち戻れ

2022/04/01

不透明な時代は原理原則に立ち戻れ

■4月以降の経営環境はこう変わる

 まさかが現実となった。ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻。悲惨な戦場がSNSを通じて配信される。2年以上もコロナに苦しめられた経営環境であった。しかし、新たな試練が「戦争」という全く予測不能な難題が待ち受けている。それでも会社は潰してはならない。それでも収益を上げ、しぶとく生き残らなければならない。不透明さが一段と増す4月以降の経営環境は次の通り。

①インフレ、利上げ、円安は当面続く

 インレフとは物価高。利上げは金利の負担増となる。円安は海外からの仕入れ調達が割高となる。この3点セットで確実に物価は跳ね上がる。しかし、収益力の低い企業の賃金は上がらない。

②独裁国家VS民主主義国家の新冷戦

 中国がロシアに軍事支援をする可能性もある。ロシアは世界第11位の経済規模。世界一のアメリカの約13分の1。しかし、中国は世界第2位の経済規模を誇る。ロシアと中国、ともに敵はアメリカだ。手を組むと更なるドロ沼化が予測される。日米欧は中国をロシアの侵略支援国家とみなし、経済制裁を科すだろう。そうなれば世界の工場、14億人の市場が縮小することは避けられない。

③全ての物がまだまだ上がる

 エネルギーで輸入依存度90%。食料自給率は40%と海外依存度が高い。これは戦争などの有事になると強烈な価格上昇となる。ここまでくると、企業努力ではどうにもならない。過去に例を見ない値上げがまだまだ続く。

■高収益企業ほど、ブラック企業に映る

 日経ビジネスの2月21日号に日本一の高収益企業であるキーエンスの特集が掲載されている。今期予想売上高7000億、営業利益率55%。自己資本比率にいたっては95%。社員一人あたりの給与1750万円。様々な経営指標は上場企業でも圧倒的な成績。経営理念である「会社を永続させる」は全社員に骨の髄まで刷り込まれている。1分刻みのスケジュール管理で、1日最低5件訪問。徹底的なロープレで営業力を磨く。供給網混乱下でも「当日出荷」。高収益を生む原動力は、このドロ臭さにあるのは間違いない。一方では別の顔も持つ。記載されていなかったが社員の定着率が低い。新卒の多くが3年以内に退社。目標未達だと会社にいづらい…。いわゆるブラック企業とも揶揄される。実は、高収益企業ほど基本に忠実で原理原則を重視する。それが世間ではブラック企業に映るのだ。

■日常業務における原理原則はこれだ

 先が見えない時代だからこそ「忘れた初心」を取り戻せ。「初心忘るべからず」である。業績向上、目標達成とは当たり前のレベルを底上げすることにつきる。原材料、仕入価格が高騰する中、日常業務における原理原則をつらぬくマネジメント着眼は次の8点。

1.想いとソロバン(理念と原価意識)を指導せよ

 右手に想い(理念)。左手にソロバン(原価意識)があってこそ商売は成り立つ。理念なき儲けるは長く続かず。ソロバン勘定弱き体質でも赤字におちいり淘汰される。一人ひとりの社員が自社の理念に共感し常に顧客ファーストを貫くことが重要。そしてソロバン勘定。適正粗利益率の確保、高騰する運賃の顧客への請求。見直すソロバン勘定はいくらでもある。

2.明るさ、挨拶、身だしなみで競合との差別化を図れ  笑顔が絶えず、大きな声でしっかり挨拶をする。そして清潔感漂う服装。高収益企業は明らかにそこが違う。ダメダメ企業は全く逆。暗い表情。挨拶もテキトー、服装はだらしない。あなたの部下は合格ラインに達しているか?

3.訪問数拡大は最大の武器

 デジタル化が進んだ反面、営業の足腰が急激に弱くなった。実践、実践、また実践。この考え方が時代遅れだと言う人間もいる。しかし、現場に根づいたコンサル活動の中で、活動量倍増はどの施策よりも業績に直結する。先のキーエンスがそうであるように。実践無き戦略は机上の空論でしかない。

4.危機感がスピードに変わる

 コロナが流行し、早2年以上が経過した。オミクロン株で感染者数は高止まりしているものの重症者、死者数とも急減している。国内のまん延防止条例も3月21日を持って解除される。その立役者は何と言ってもファイザー社、モデルナ社のワクチンだ。その開発スピードは人類史上例を見ない早さであった。コロナが人類を滅ぼすかもしれない。世界の科学者、医療の専門家による研究の成果である。危機感があればあらゆるスピードが強化される。

5.報連相はヤル気、意欲の表れ

 今お読みの経営ニュースも26年目に入る。世の流れ、時の経済状況を勘案して一気に書き上げている。これまで一番多く取り上げたのがこのテーマだ。変化が速くなればなる程、報連相、そしてレスポンスの頻度を上げるべきだ。悪い報告、事前報告、経過報告、終了報告、小刻み報告、その都度報告、ダブっても報告、気になれば報告。利益の上がる強い体質を創る絶対条件である。

6.業績の正体を鋭く分析せよ

 原材料高、仕入価格の上昇により積極的な値上げが多くの企業で実施されている。そこには盲点も潜んでいる。出荷量は減少、しかし値上げ効果で売上高は急伸。これでは本物の成長とは言えない。経営とは一言で言うとバランス。売上高を構成している得意先件数や定番商品の比率。一社依存度を極力おさえた売上構成。何があっても崩れにくい売上の中身にしていくのがリーダーのマネジメントである。

7.量をこなしてこそ効率は体得できる

 入社したての若い社員には「量」をこなす大切さを指導して頂きたい。例えば誰もが新入社員の時に経験する電話対応。電話がなったら逃げたくなったはずだ。内容もトンチンカン。しかし量をこなせばなれてくる。量をこなしてない効率は的外れで結果に直結することはない。そして理屈っぽく聞こえる。強さ、たくましさ、謙虚さ、これら全て量が育んでいく。

8.準備、段取り、計画で勝負の90%は決まる

 生産性が高い社員と低い社員の違いはスケジュール表(システム含め)、手帳を見ると一目瞭然だ。週末、金曜日の時点で一週間のスケジュールが見事に埋まっているのが生産性の高い社員。リーダーは部下の一週間の行動計画を確認して頂きたい。人間の能力に差はほとんどない。準備、段取り、計画で圧倒的な差がつくのだ。

■企業体質は経営戦略にも勝る  日々の習慣が業績向上する企業風土、体質を創る。風土、体質とはまさに凡事徹底のなせる技。一朝一夕で築くことは不可能。強い企業体質を創り上げるにはズバリ原理原則に立ち戻ることだ。これくらいはできている…これが間違いの始まり。できていることを磨き深掘りし、徹底する事で初めて差別化が生まれる。未来は誰も予想できない。しかし原理原則に立ち戻れる企業は生き残ることが出来る。これは誰もが予想できる。     

ワンポイントトーク

不透明な経営環境だからこそ、常に原理原則に基づいて行動し、判断せよ。

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