■20%が伸ばし、50%現状維持、30%が悪化
後継者の20%は業績を大きく伸ばす。50%が現状維持。但し、コスト、販管費の上昇で利益は悪化。残りの30%が倒産、破綻へまっしぐら。30年以上、この仕事をしていると、業績を伸ばす後継者、つぶす後継者の共通点は誰よりも認識している。業績を伸ばす後継者は、先代の様なカリスマにはなれないと理解している。だから、①基本の徹底、②原点回帰、③変化対応、④やり切る力を磨き抜く。
■伸びる後継者の共通点
優秀な後継者は認識している。ワンマンで全てを決断するリーダーシップは発揮できないことを。だからこそ組織を創り上げることにエネルギーを注ぐ。実はその様な思考を持つ後継者の方が企業規模、利益も爆発的に伸ばしている。
■業績を大きく伸ばす後継者の条件
戦争体験者の創業者は厳しくも情が深く、強烈なリーダーシップで軌道に乗せた。それを引き継いだ2代目は没落する日本経済の中で飛躍を遂げた。いま3代目の時代に入った。この様な企業は創業から50年以上の歴史がある。時代が大きく変わりゆく中、業績を更に伸ばす後継者は次の5点。至って基本的なことばかりだ。
①素直、謙虚、そして勉強熱心
②健康な心と体。健全な考え方の持ち主
③経営は厳しい世界であり甘い考えは一切ない
④社長になり、更なる発展を遂げる覚悟がある
⑤理念は継承し収益構造を変えようとしている
■こうして後継者を一流の経営者に育て上げよう
上手く行ったら先代の力。業績が落ち込むと、やっぱりな、と周りから厳しい眼で見られる。目まぐるしく変化する中で一流の経営者に育て上げるのは次の7点。
1 .年の近い兄弟はモメる確率が極めて高い
70%程度がモメにモメている。兄弟がゆえに話合いで解決は無理。とはいえ辞めてもらうことも簡単ではない。会社を大きくして居場所を作る。子会社、別会社の社長をやってもらう。会社内での兄弟ゲンカほど見苦しいものはない。
2 .誰を後継者にするか。的確な判断が重要
長男、次男、長女と誰が経営者に向いているかをしっかりと見極めることだ。そこを見誤ったら後々、社内混乱が起き組織は無茶苦茶になる。時代は変わった。創業家は大株主として君臨し、外部から招聘することも選択肢。
3 .株は後継者に全て相続
同族企業の鉄則である。株が分散すると、これまた、モメる原因になる。現在、分散している場合、早めに後継者が買い取ることが懸命だ。
4 .厳しい会社で修行させる
取引先で修業。商品知識修得という面ではメリットがある。しかし取引先から見るといずれ会社に戻る。主要な顧客という理由で甘やかしているケースもある。それと規模の問題だ。修業先は組織がしっかりした大企業。自社は中小企業。戻ったときに大きなギャップを感じる。そこの対応は先代がしっかり指導しなければならない。
5 .自社では一兵卒としてドロ臭い仕事から
修業後、自社に戻った時の部門配置と役職は大切。ダメパターンは経営企画室や経営企画室長と言った部門をあえて創り、妙な役職まで与えている事例だ。周りから見ると甘やかしにしか映らない。営業会社なら営業マンから。メーカーだと工員から3~4年はそこで汗をかくことだ。誰よりも働き偉ぶらないことで社員の信頼も勝ち取れる。
6 .同世代とともに成長し、世代交代を進める
後継者が社長に就任したら古参幹部は一歩下がった方が望ましい。そのかわり次世代を幹部として登用する。古参幹部はいまの社長と苦楽をともにしており、新社長を支える意識は強いがチャレンジ精神は低下する。社長就任予定の年から逆算し、4~5年かけて準備することが重要。
7 .トップを譲ったら出来るだけ口出ししない
新米社長だけに様々な不足が見えてくる。その場合、公の場ではなく二人だけの場でアドバイスすることだ。会長、社長という立場が「二頭政治」を招き派閥になったり方針に一貫性を欠く原因にもなる。まだトップとしての器がないのなら社長を絶対に譲るべきではない。
■高い志を持ち業績を上げ、社員を守れ
毎晩飲み歩き、平日からゴルフ。出社もまばら。このニュースを読まれている企業には存在しないはずだ。しかし現実は一定程度いる。そんな人間がトップに立てば倒産は時間の問題。経営者は社員とその家族を守らなければならない。そして、幹部の10倍の危機感がなければ務まらない職務であることを忘れてはならない。
株式会社経営支援センター 国吉拡
ワンポイントトーク
【会社をつぶすも伸ばすも後継者次第。いまこそ後継者の育成に全力を注げ!】