■空前絶後の大倒産時代がやってきた
1~6月の倒産件数が約5千4百件と13年振りの高水準となった。物価高と人手不足による賃上げ圧力で、経営体力の弱い中小企業が淘汰されている。更に金利高の影響が8月以降、ボディーブローのように効いてくるはずだ。赤字体質、賃上げできず、設備投資見送り、生産性低下で倒産へまっしぐら。人間の寿命は伸び続けているが、企業の寿命はこれから極端に短くなる。
■業績を上げるだけでは三流。後継者を育てて一流
顧問先では3代目の社長が次々誕生している。祖父の時代からのお付き合いだ。長男ではなく、次男が後継者。娘、娘婿、同族以外からと様々なパターンがある。誰を後継者として指名し、どのようにバトンを渡すか。現トップの最後の大仕事である。経営は誰にでも出来るものではない。そして苦難の連続だ。トップに据えるべきタイプは次の5つの切り口から判断していただきたい。
1.経営者に向いているかどうかシビアに判断する
人には器や性格がある。いくら努力しても出来ないこともある。向いているタイプは行動力がある、自分に厳しい、地頭が良い、人から好かれるといった所だ。優しいだけでは経営は成り立たず、学業優秀がビジネス優秀とは限らない。
2.仕事ファーストでチャレンジ精神、行動力がある
経営者に残業や休日の法的規則はない。休むなと言っている訳ではない。結果が全て、ということだ。甘々な後継者は完全にプライベートファースト。社員はそこを鋭く見抜く。そんな後継者がトップに立っても人はついて来ない。
3.基本、常識、明るさを持ち合わせている
まず人としてどうか、の問題だ。コミュニケーション能力が低い。上から目線で横柄な態度。気配りや心配りが欠如。表情に明るさもない。極めてシンプルなテーマではあるがそれが身についていないと人心掌握は難しい。
4.母親の意見を大いに参考にする
我が子のことは母親が最も知り尽くしている。強み、弱みも熟知。その意見を上手に生かすべきだ。我が子が後継者になることに対し色々な心配事があるはずだ。現トップはその心配事をくみ取り、様々な切り口から動機づけをすることが求められている。
5.体の健康、心の健康に問題はないか
経営者とは実に孤独な職務。借入れをする際に経営者個人が「連帯保証人」となる。失敗すると個人財産も返済原資に組み込まれる。体が病気が
ち、メンタルが弱いではとてもトップは務まらない。社員は結果がでなくても許される。経営者は結果を残さなければ全てを失う。
■後継者が決定した後の継承の流れ
学生時から決定しておくのがベスト。修行する就職先もおのずと変わってくる。理想は修行先で4~5年。20代後半には自社に戻るが計画的にバトンを渡すことが出来る。後継者が社長に就任するまでのポイントは次の12点。
①会社の歴史と経営理念を徹底して叩き込む
先人の苦労を知り、事業継続の難しさを認識
②10年計画でバトン渡しプランを策定する
時間軸を決め逆算しそのレベルに達する
③自社の主力部門で一兵卒から汗をかく
経営企画室長や社長室長では育たない
④社長交代5年前には次の組閣をイメージ
現在の役員は社長交代とともに退いてもらう
⑤新卒、中途採用には積極的に関わる
社員は誰に採用されたかを強く意識する
⑥親族社員の職務と役割を明確化
兄弟は特にもめる。株は後継者が全株保有
⑦事業承継、とりわけ株式譲渡は早くからスタート
純資産が大きくなればなる程、頭を抱える
⑧経営の基本、原理原則をしっかり誘導する
松下幸之助氏、稲盛和夫氏の著書を読む
⑨外部研修への参加、異業種との交流
外部研修は自社理念に合致した内容を選定
⑩社長交代も3年間は会長職としてフォロー
二頭政治にならないよう注意。社長の教官役
⑪経営数値、基本指標を徹底して勉強する
経営はバランス。違和感には何かがある
⑫親族以外の役員を育成せよ。成長に限界が来る
優秀な若手が更に上の仕事を目指さなくなる
■理念を継承し、新しい事業の柱を創り上げろ
経営とはゴールのないマラソン。タスキを受け取った後継者が自らの代をしっかり経営していかなければならない。自社の過去を分析したらなぜその時成長したかが理解できる。トヨタのルーツは織物だ。それがいま自動車メーカーで世界一の販売台数。これから先、次の事業が必ず誕生するはずだ。それが実現できないとトヨタといえ未来は分からない。日本は97%が同族企業。それだけに身内からトップが誕生する可能性は高い。能力も無いのに既成路線でトップに立っても長くは続かない。
ワンポイントトーク
【企業の存続、成長は後継者にかかっている!】