OJTは重要だが、場当たり的なOJTだけでは限界

OJTは重要だが、場当たり的なOJTだけでは限界

2022/11/14

OJTは重要だが、場当たり的なOJTだけでは限界

 OJTとはOn The Job Trainingの略称で、「実際の業務の現場で、上司・先輩から指導・教育を受けること」を意味します。様々な企業の新卒採用HPをみると、次のように記載があります。「OJTを通して業務を学んで頂きます。」一見すると、上司・先輩がみっちり新人の教育をするのは素晴らしいと感じるかもしれません。しかし、実際は、配属先に育成を丸投げ。配属先の上司・先輩もきちんとOJTの進め方を知らず、自己流の指導が横行し、「OJTという名の放置状態」になっています。今回は育成とは何なのか。OJTの本来の意味、押さえておくべきポイントを解説します。

上司によって部下が育つ、育たないのバラツキが存在

  食品卸売業A社の人事課中山課長は最近若手社員へのヒアリングを行いました。当社では、「現場で揉まれてこそ、人は育つ」の考え方のもと、新入社員研修が終了すると早速、現場の上司に新人の育成を依頼しています。ヒアリングで新入社員よりこのような申し出がありました。「私の上司は非常に優しいのですが、基本的に細かい指示はありません。時々、どのようにすれば良いか?と相談しても細かい回答は頂けません。」また、別の新人はこのように回答します。「私の上司は事あるごとにチェックをして頂けるのですが、あまりにもその頻度が多く、まるで監視されているかのようです。」このように各現場によって上司の指導スタイルは様々で、基本的な育成の型は上司に委ねられており、会社として押さえて欲しいポイントは守られていないように感じます。

解説 

部下は育つものではなく、育てるもの。部下は放っておいて成長をすることはありません。上司が手取り足取り、指導をすることによって成長していきます。しかしながら、ただ指導をすれば良いというわけではありません。OJTも含めた育成の方法を理解し、計画的に実施する必要があります。

1.OJTでは上司の知っていることしか教えられない

  OJTでは自分の知っていること、経験してきたことしか教えることはできません。また、上司の能力を上回る指導はできません。つまり、上司が「それなりの」レベルであれば、「それなりの」指導しかできないのです。上司によって非常に指導のバラツキが発生してしまいます。

2.OJTをする上司に対する研修

    OJTを担当する社員にしっかりとした研修を実施し、指導する内容と教え方の方法・技術を身につけさせる。「忙しくて部下の面倒を見るヒマなどない」という考えからの脱却を図ることが重要。

3.部下育成3つのアプローチ

 部下育成のアプローチはOJTだけではなく、大きく3つのアプローチがあります。それが次の通りです。

①OJT(職場内教育=実際の業務の現場で指導を受ける)
②Off-JT(職場外教育=職場を離れて教育を受ける)
③SD(自己啓発=個人で自主的に勉強する、資格を取る)

    部下の能力を伸ばすのは上司だけではありません。例えば、「論理的思考力が足りないので、外部研修に参加させよう。」、「海外とのやり取りを円滑にするために、TOEICを勉強、受講させよう」など、部下の伸ばしたい能力を様々な角度から考えることが必要です。

4.効果的なOJTの進め方

    効果的にOJTを行っていくためには、次の7つのポイントを抑える必要があります。

①計画的

    「半年後には一人でお客様対応をできるようになる」など、目標を設定し、上司・先輩・新人が共有をする。

②意図的

    仕事を「任せる」と「振る」は異なる。自分の仕事の軽減のみに着目し、仕事を振っていくのではなく、 「この作業を経験すると将来役に立つ」などと人に注目し意図して仕事を与えていく。

③能力の伸長のみならず、人格の成長も促す

    スキルだけではなく、社会人としての考え方、キャリアなど人格の成長に対しても指針を示す。

④まとまりのある仕事

    細切れの仕事はただの作業に終わってしまう。なぜ、この仕事をやらないといけないのかを考えるためにはある程度まとまりのある仕事が必要。

⑤仕事の優先順位を示す

    優先すべきは「他者が関わる仕事」と「利益に関わる仕事」など、仕事を行う上での優先順位を示してあげる。

⑥聞ける人、頼める人を特定しておく

    仕事において、もしくはプライベートにおいて誰に相談すれば良いかをきちんと決めておく。

⑦わが子のように共に悩み、共に考える

    部下育ては子育てのようなもの。愛情を持って接すると必ずその熱意は部下に伝わる。逆に愛情を持たず接するとすぐに部下に見抜かれてしまう。
中山課長はOJTのバラツキを防ぎ、一定のレベルで新人・若手を指導できる体制を構築するため、体系的なOJT指導者研修を展開することとしました。

ポイント

    OJTをただ現場任せにしてはいませんか。OJTは万能ではなく、効果的なOJTを行うには上司のレベルアップが必要となる。

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