強いチーム ~自律的に動く社員の育て方~

強いチーム ~自律的に動く社員の育て方~

2021/10/14

強いチーム ~自律的に動く社員の育て方~

はじめに(新連載にあたってのご挨拶)

   私ども経営支援センターは「人を創り 人を育て 人で勝負できる企業」の理念のもと、前身会社の創業以来1,000社以上のクライアント様の営業改革・人材育成に取り組んできました。

    私自身も年間120回以上の公開セミナーや社内研修に登壇し、多くの管理者・中堅・若手メンバーの行動変容を促しています。研修の中では実に多くの上司の方が、部下に対して、「動かない」、「ヤル気がない」、「自分の頭で考えない」等、多数の不満を口にします。かたや、多くの部下たちも、「上司の指示が悪い」、「意見をしても変わらない」などと不満を抱えているのも事実です。企業の本来の目的は、稲盛和夫氏の言葉を借りれば、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献する」ことです。上司・部下お互いが次元の低い不満を抱えたまま企業としての価値を顧客に提供ができるでしょうか。それは難しいでしょう。

    人の価値観は様々です。価値観が異なることを認めた上で、企業として、組織としての目的に上司と部下が合意し、目標達成のために動いていく。そのような組織を創っていくためにはどうすれば良いか、また部下が自律的に動いていくためにはどうすれば良いか。これまでに培った経験をまとめ、「強いチーム~自律的に動く社員の育て方~」と題し、今号より連載をスタートします。部下を持つ管理者の皆様、是非、組織運営と部下育成のヒントとしてご活用頂ければ幸いです。そして、部下の皆さんとも共有ください。

テーマ①「考え方の原則 ~原因自分論を浸透させる~」

ある新入社員の事例

    食品卸売業の営業職として勤める社会人1年目の田中君。入社しそろそろ半年が過ぎようとしています。4月に1ケ月かけて新入社員研修を受講したのち、現場に配属されました。3ケ月間の上司・先輩同行を経て、8月より担当を任されました。週のうち3日は一人で営業活動を行っています。

    上司の山田課長、メンターの高田主任からは、「新人なのだからまずはガッツと行動。失敗など恐れずどんどんお客様まわりをしなさい」と指示を受けています。8月は自分を奮い立たせ、行動量を重ねました。9月に入り、引き続き営業を続けますが、コロナ禍の中、アポイントも断られ続け、提案も思うようにうまくはいきません。次第に心も折れていき、「こんな商品売れるわけないよな。」「まともに指示もくれない山田課長や高田主任はなぜもっと面倒をみてくれないのだろう。」会社・上司・環境に対する不平不満はどんどん大きくなっていきました。

    そんな中で大学のゼミの同期と久しぶりに会う機会がありました。「田中、最近仕事どう?何してるの?」旧友の手前、「順調だよ。営業として担当も任され、もうすぐ大型案件も決まりそう。」と強がって回答しましたが、内心では早く転職したい、と考えています。 

    その感情は行動にも表れ、事務所では冴えない表情を浮かべています。見かねた山田課長は「ちょっと田中君、一人で営業回りを始めてそろそろ1ケ月だね。振り返りと今後の行動決めをするから明日時間をつくってくれるかな。」翌日、面談で山田課長は仕事における重要な考え方を話しました。

山田課長「営業頑張ってるね。そろそろ疲れがたまってきてるころかな?仕事をする上で非常に役立つ考え方を教えてあげよう。相手の非に着目するのではなく、自分だったらどうするか、と考えるとすごく、気分が楽になるよ。これをね、原因自分論と言うんだ。」

解説

    「原因自分論に徹すれば打つ手は無限」私の大好きな言葉で、弊社でもよく耳にする文言です。この考え方なくして、仕事の改善や自身の成長を図ることはできません。失敗の原因を他に求める原因他人論は思考停止状態で考えることを放棄しているに過ぎません。会社は矛盾の宝庫ですので、確かに納得できないことはあるでしょう。原因自分論で考えれば、「何でうちの上司はアドバイスをくれないのかな?」ではなく「自分からアドバイスをもらいにいこう!」、「こんな商品売れない」ではなく「現場から売れ筋商品の報告をあげよう」などと、常に自分の行動を軸に考えます。パラダイムの転換、天動説から地動説。この考え方に基づくと不思議なことに様々な悩みも消えていきます。 

    心理学の大家エリック・バーンはこう述べました。「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」原因自分論にも通じます。上司や環境を変えようしても変わりません。自分が変わらなければ物ごとは前進していきません。この考え方を部下にいかに浸透させるかが、上司は問われています。物ごとを「他人ごと」ではなく、「自分ごと」ととらえる組織は動きが違います。ただし、組織を運営する上司が「お前が悪い。行動を改めろ。」と言うのはある意味、原因を部下に求める原因他人論。人を変えることはできませんが、人に影響を与え、考え方を改めるきっかけを与える、この視点で部下と粘り強く接していくことが求められます。

    山田課長と面談を終えた田中君に笑顔が戻りました。「原因自分論」良い言葉を聞いた。さあ、明日からの営業はまずは件数。朝礼が終わり次第すぐに出発しよう。

ポイント

    まずは原則の考え方「原因自分論」を組織のメンバーに浸透させよ。やり方・スキルより考え方。矢印を自分に向け、自己決定した行動は他人に依存した行動よりもはるかに成果を上げる。

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