「らしさ」の追求

「らしさ」の追求

2025/12/01

「らしさ」の追求

◆「知識がない」から売れないは本当か

    先日、営業セミナーに参加していた製造業に勤める若手営業の方と、次のような話になりました。 その男性Aさんは25歳で、介護業界から心機一転、結婚を考え年収アップを目指し一年前に転職したとのこと。ニコニコと笑う表情は、いかにも良い人という印象。決して相手のことを否定せず、会話をすると居心地の良さは感じます。しかしながら、何かを尋ねても回答は、「そうかもしれないですねぇ。」、と歯切れが悪く、頼りない雰囲気。そこで、ストレートに質問してみました。吉田「Aさん、入社して一年であれば、目標数字は持っていると思います。毎月目標は達成できていますか?」Aさん「はい。半年前から数字を持たされていますが、この6ヶ月、達成できた月はありません。」吉田「そうですか。では、数字が上がらない理由は何だと思いますか?」Aさん「えーっと。何でしょうか。商品知識が不足しているからだと思います。お客様に提案しようと思っても正確に説明できませんので。」吉田「そうかもしれませんが、もっと大きな理由があると思いますよ。商品知識より大事なことです。」実は、それが年齢に応じた「らしさ」です。

◆「らしさ」は武器になる

    それでは、20代半ばまで、まだ営業職についてキャリアの浅い方が持つべき「らしさ」とは何でしょうか。それが、「礼儀礼節、明るさ、元気さ、誠実さ」です。若手であるにも関わらず、下手に商品知識で勝負をしようとすれば、頭でっかちで可愛くなく、嫌われることも多いです。何も、ゴマをすれと言っているわけではありません。自身の年代にお客様が何を求めているかを敏感に察知し、自然と振舞うことで、相手の懐に入ることができ、可愛がられるのです。若手でありながら、結果を出している人は、知ってか知らずか、ほぼ全て「若手らしさ」を武器にしています。

◆年齢に応じた「らしさ」とは何か

    しかしながら「マナー、明るさ、元気さ」だけで通用するのは少なくとも20代後半まで。それ以降はどのような「らしさ」が求められるか、を解説します。

①20代後半~30代中盤
    自社が扱う、商品知識は完璧に理解。お客様の細かなニーズをくみ取り、徹底的にお客様のためを思った提案営業ができること。マンションの営業であれば、お客様の属性を瞬時に把握し気のきいた説明が必要です。小さなお子様がいらっしゃるご家族であれば、「近隣の保育園の場所や学区の小学校の様子」を聞かれる前に説明する、など。それに加え、まだまだお客様は明るさ、元気の良さも求めています。

    ②30代中盤~40代中盤
    もう、この年代になってくると、元気の良さだけで勝負はできません。挨拶の声は大きいが中身がない、となると年に見合わない幼稚さを感じさせます。そこで必要となるのが、幅広い知識と情報です。商品知識のみならず、専門知識、社会知識、政治経済知識から歴史や芸術などの教養に至るまで。勉強が必要です。自社の商品・業界のことしか知らない営業は、この年代では通用しません。新聞やニュース・本からしっかりと情報を仕入れ、様々な見地から提案をする。これが求められる「らしさ」です。

③40代中盤以降
    この年代の「らしさ」はズバリ、頼りになるか、否かです。お客様は自社の役職者と営業担当者を比べています。うちの会社の社長を説得できるか、経営的見地で提案をしてくれるか。この人の言うことをきいて得をするのか。総合力で勝負しなければなりません。

◆若手営業に求められる「らしさ」

    冒頭に紹介した、営業Aさんには、私はセミナー終了後、以下のことをアドバイスしました。若手担当者の方は是非おさえてください。また、若手社員を部下に持つリーダーの方は指導の参考にしてください。

①礼儀礼節(マナーの重要性)
    お客様が最も見ていること、それが「基本が出来ているか」です。身だしなみはきちんとしているか、敬語は間違っていないか、レスポンスは早いか。お客様はまず、出来ていない部分に気づきますので、出来ていない部分を改善することを優先しましょう。

②明るさと元気の良さ
    訪問時「こんにちは!」と元気よく挨拶をする。商談中もハキハキと爽やかに会話を行う。商談が終了し、帰り際も「本日はありがとうございました!来週もよろしくお願いします!」と笑顔で次回につながる良い印象の挨拶を行うことが重要です。

③分からないことは分からない、とハッキリ伝える
    知識が不足していることはお客様も理解しています。お客様から質問があった際、知らないにも関わらず、悟らせまいと、「〇〇だと思いますよ」と曖昧に回答するのは最悪の対応です。後々、大きな問題につながることもあります。このような場合は、「申し訳ございません。分かりかねますので、自社に戻り次第、早急に確認、ご連絡します」と答え、実際に急ぎ回答すること。場合によっては商談の現場で上司や会社に電話確認をしても構いません。

④小さな約束を忘れない、約束を守り続ける
    帰り際にふと口に出した約束、商談の話題を外れた約束もお客様は覚えています。そのような約束は決して破ってはいけません。

    以上、4点は知識の習得よりもはるかに重要です。これから一か月実践するようAさんと約束しました。実はこの営業セミナーは全三回講座です。次回この実践の報告をきくのが非常に楽しみでもあります。

【ポイント】   

年齢に応じた「らしさ」がある。自分の「らしさ」が何かを理解し実践することでお客様の懐に飛び込むことが可能となる。

株式会社経営支援センター チーフコンサルタント 吉田 敬真

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