■経営のド真ん中にはどんな時代も人である
このコラムも毎月書き続け30年になる。歴史を振り返ればオフィスコンピューター、パソコン、スマホ、IT、そして今はAI。テクノロジーの進化はすさまじい。しかしよく考えると、この様なテクノロジーを駆使して業績を大きく伸ばした中小企業を見たことがない。あくまでも業務効率化のツールでしかない。業績の恩恵を大きく受けるのはAI関連だとエヌビディア、キオクシア、ソフトバンクグループ等の半導体関連の大企業。大企業は開発、投資で勝つ。しかし中小企業は人で勝つしか方法はない。中小企業の採用、定着、戦力、そして稼ぎ方の実践ポイントは次の8点。
1.入社動機も様々。自社の魅力をどう伝えるか?
高い給与、年間休日、福利厚生を優先する学生もいる。しかし企業理念、社風、やりがいを優先する学生も多い。最近の傾向として社会貢献、健康、SDGS、自ら携わった商品を世の中に広げたいという学生も増えている。自社の魅力をどう伝えるかによっては学生の心も掴める。
2.いまの学生に「 終身雇用 」という発想は全くない
誰もが羨む超一流企業。それでも今の若い人間は何の後悔もなく去っていく。これも時代。「石の上にも3年」とは言うがもはや通用する表現ではなくなった。若い人間にどんどんチャンスを与え、結果を出し次のステージで更に大きな目標を与える。これが優秀な人材定着の基礎となる。
3.下積みをショートカットせよ。早く表舞台へ
これまで、一人前の寿司職人になるには「飯炊き3年、握り8年」がまかり通っていた。その後インバウンドの寿司ブームにも乗り寿司アカデミーが各地に開校すると状況は一変。早い職人だと一年も経たず一人前に育っていく。これは企業も同様。若くても出来る人間にいつまでも下積み仕事をさせてはならない。むしろマンネリに陥ったベテランにその仕事をやってもらう方が企業の生産性は高まる。考え方、やり方を変えるべきだ。
4.最強の採用戦略とは売上が伸び続けていること
SNSを積極的に活用し様々な媒体に予算をかけても赤字企業はなかなか採用出来ない。結局、売上、利益が伸び続けている企業こそ活力と躍動感があり魅力があるのだ。採用戦略の本質はそこにある。採用にテクニカルは限界がある。
5.補充と定期採用には成長意欲の差が生じる
定期採用とは4月入社の新卒採用を指す。一括採用で中長期でスキルアップを目指す。一方、補定期採用組には人材の質で絶対に勝てない。伸び続ける企業は新卒出身者が主要な幹部に育っている。新卒採用せずして地域NO1、業界NO1にはどうあがいてもなれない。ここを諦めるな。
6.最初に入社した企業の影響は強く受ける
リクルート出身者で起業し成功を収めた経営者は多い。企業風土にそのポイントがあるのは間違いない。中途採用者も最初に入社した企業の風土と業績レベルが分かれば現状の実力はある程度つかめる。赤字企業出身者充とは不足や欠員を急ごしらえで整える。やはりはやはり甘く、ユルく他責の人材が多い。20代で転職を何度も繰り返している人間は渡り鳥で長続きはしない。それでも履歴書は実に素晴らしい。本質を見抜け。
7.業績を見える化し頑張った基準を利益に絞れ
売上が伸びただけで利益が出る時代ではない。私の顧問先では管理会計を設計、活用し、各部門の売上高、粗利益、経費、営業利益まで明確にしている。それを全員で共有。そうすることで個人の目標達成の重要性、スピーディーな価格転嫁の必要性が芽生える。もちろん利益最大化の意識も高く小さな改善を徹底する。タンクロ( 単月黒字 )経営が可能となり高収益企業が多い。
8.一人優秀な若手を戦略的に育て上げる
ゴルフの女子プロが世界を席巻している。海外メジャー優勝もこの数年、渋野、笹生、古江、西郷、山下だ。その勢いは止まらず次々と若手が海外を目指している。ビジネスも同様だ。一人若い社員を徹底して育成する。すると組織内に競争意識が高まる。これまで優秀だと思っていたベテランが物足らなく感じる。その様な現象になればしめたもの。組織の偏差値が上がっている証。同族以外で30代40代前半の役員が誕生する中小企業には勢いがある。企業体質を変えるチャンスだ。
■ベクトルは一致。それでも属人的人材は強い
国内企業270万社。ゾンビ企業が約20万社もある。ゾンビ企業とは営業利益で支払い金利を払えない企業をいう。金利上昇で今後、倒産は拡大する。大企業は原油高をAI特需、価格転嫁でカバーし来年3月期も増益。中小企業で利益を上げるにはやはり人である。それも若い人間の採用、定着、早期戦力化だ。中小企業における伸びる若手は理念に共感、ベクトルも一致。基本に忠実。しかし人的には属人的。この属人的こそ、らしさでありお客様から選ばれる魅力なのだ。
ワンポイントトーク
【採用と教育は企業最大の投資である】