なぜ今、年功から役割・成果への転換が求められるのか

なぜ今、年功から役割・成果への転換が求められるのか

2026/07/01

なぜ今、年功から役割・成果への転換が求められるのか

近年、多くの企業で人事制度改革が進められています。その中でも大きな流れとなっているのが、「年功」から「役割・成果」へという考え方への転換です。かつての日本企業では、勤続年数や年齢に応じて昇格・昇給していく年功的な仕組みが一般的でした。しかし、人材不足や市場環境の変化が激しい時代において、従来の考え方だけでは組織の活力を維持することが難しくなっています。今回は、「年功」から「役割・成果」へ移行する理由について、5つのポイントで考えてみます。

■会社が求める役割を明確にするため

従来の年功的な運用では、「何年勤めたか」が処遇の判断基準になりやすく、社員に期待する役割が曖昧になる傾向があります。一方、「役割・成果」を重視する考え方では、会社がその人に何を期待しているのかを明確にします。

例えば、

①主任には後輩指導

②係長にはチーム運営

③課長には組織成果の創出など、それぞれの役割を明文化します。

役割が明確になることで、社員は何を目指せばよいかが分かり、上司も育成や評価がしやすくなります。

■若手社員の成長意欲を高めるため

近年、多くの経営者から「若手がなかなか定着しない」という相談を受けます。その理由の一つが、頑張っても評価されている実感が持てないことです。年功的な運用では、「あと何年か経てば昇格する」という考え方になりがちです。

しかし現在の若手社員は、

①自分が成長できるか

②挑戦する機会があるか

③正しく評価されるか

を重視しています。年齢ではなく役割や成果を評価する仕組みは、若手社員の挑戦意欲や成長意欲を高める効果があります。

■ 管理職の役割を明確にするため

中堅・中小企業では、「課長になったが何をすればよいか分からない」というケースも少なくありません。役職が付いていても、

①部下育成

②業績管理

③部門運営

などの責任が曖昧なままになっていることがあります。役割・成果を重視する考え方では、管理職に期待する役割を明確にします。

その結果、

①管理職の行動が変わる

②組織の意思決定が早くなる

③部下育成が進む

④責任と権限が明確になる等の効果が期待できます。

■処遇への納得感を高めるため

社員の不満で多いのが、「なぜ自分の給料がこの金額なのか分からない」というものです。年功的な制度では、処遇の根拠が見えにくくなります。

一方で、

①どの役割を担っているのか

②どの成果を出したのか

③どのような行動を取ったのかが明確になれば、昇給や昇格の理由も説明しやすくなります。

必ずしも全員が結果に満足するわけではありませんが、「納得感」は大きく向上します。

■ 会社の成長スピードを高めるため

企業の成長は、人材の成長によって支えられています。変化の激しい時代においては、「経験年数が長い人」よりも、「新しい役割に挑戦できる人」が求められています。役割・成果を重視する制度は、挑戦する人材を後押しし、組織全体の成長スピードを高めます。

また、経営者にとっても、「誰に何を任せるのか」が明確になるため、権限委譲や次世代体制づくりを進めやすくなります。「年功」から「役割・成果」への転換は、単に評価や給与の仕組みを変えることではありません。会社として、「どのような人材に活躍してほしいのか」「何を期待するのか」を明確にすることです。大企業のような複雑な制度を導入する必要はありません。まずは、自社の役職ごとの役割を整理し、社員へ伝えることから始めてみてはいかがでしょうか。

役割が明確になることで、社員一人ひとりが目指すべき方向性や成長課題も見えやすくなります。上司と部下の対話も深まり、育成や評価の納得感向上につながります。結果として、組織全体が同じ方向を向き、自律的に成長する組織づくりの土台となります。また、役割を基準とした人事制度は、人材配置や後継者育成を進めやすくする効果もあります。「誰がどの役割を担えるのか」「次にどのような成長を期待するのか」が見えるようになり、組織運営の精度向上にもつながります。変化の激しい時代だからこそ、人と組織の成長を支える

仕組みとして、役割を軸にした制度づくりがますます重要になっていくでしょう。人事制度は、社員を管理するためのものではなく、社員の成長を通じて会社の成長を実現するための経営の仕組みなのです。

株式会社経営支援センター 人事コンサルタントチーム 

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