価格転嫁が出来る企業の条件

価格転嫁が出来る企業の条件

2026/11/01

価格転嫁が出来る企業の条件

■価格転嫁が出来ない企業は収益が低迷する

 中東問題、物流費、人件費が高騰し物価高、資材高が続いている。この10月飲食料品でなんと3100品目が値上げ。これで終わりではない。最低でも3~4年は続く。評論家は価格転嫁と簡単に口にするが、そう生易しいことではない。例えば大手食品メーカーが価格改定を実行する。そこから商社→問屋→小売りの商流だ。小売りも一昔の商店とは違いイオンや地元スーパーは販売力が強固。流通過程の商社、問屋は中小企業が中心。メーカーの値上げを大手小売業に全て価格転嫁するのは非常に困難。そこで収益が悪化する。これから先、中小企業の収益格差が一段と高まる。

■縮小する市場でも値上げ、価格転嫁は出来る

 中部地方に拠店を置く自動車板金塗装業のA社。この数年の業績向上には目を見張る。売上高は毎年10%以上伸び、前期は4億を超え、経常利益1億を達成。経常利益率は25%を誇る。経営の質が高く中身が良い企業だ。そのプロセスを分析すると①健全経営→②毎年設備投資→③技術力向上→④値上げ→⑤大幅な黒字→⑥給与、休日増で社員のモチベーションアップ→⑦好条件での採用。顧客からの評価も抜群。値上げ、価格転嫁できるビジネスモデル構築のポイントは次の8点。

1.顧客との取引理由に自社の強みが隠されている

 ダイソーの強みは低価格で圧倒的な品数と開発力。無印良品は無添加、自然素材に特徴を打ち出す。強味を打ち出せるビジネスは付加価値があり収益力も高い。実は強みを一番良く知っているのは既存の得意先だ。なぜ我が社と取引しているのか。その取引理由を明確にする。更にブラッシュアップし競合と圧倒的差別化を図る。強みのある企業こそ価格転嫁はスムーズに進む。

2.仕入れて販売するだけのビジネスは儲からない

 切る(カットする)、組み立てる、加工する、何だかの付加価値を提供することだ。例えばスーパー。パート、アルバイトの人手不足が問題になっている。カット野菜として納める。惣菜コーナーでは商品をパッキングする。顧客の経営課題を解決するソリューション営業の視点が重要。

3.小ロット対応、短納期=高い競争力となる

 大企業がなかなか踏み込めない領域。小ロット対応や短納期に対応するには設備投資やそれなりの在庫も必要。経営を一言で表現するとバランス。投資コスト、在庫リスクを上回る値決めで営業利益が確保できれば何ら問題は無い。むしろ強みになり他社の追随を許さない。

4.安定した品質

 顧客の選択肢も様々。企業規模が大きくなるとどうしてもこれまでの実績を重視し特に品質にこだわる。高品質はブランドであり安心感、安定感がある。安くても品質に問題があれば高くても高品質を選ぶ。品質とはビジネスの横綱である。

5.製品( 商品+情報提供、アフターフォロー)で勝つ

 顧客は何を持って価格と考えているのだろうか。商品は確かに安い。しかしクレームも多く日頃の情報提供やアフターフォローもイマイチ。商品と製品の定義を見直すことだ。安いだけで売れる時代ではない。これこそ企業文化であり社風なのだ。

6.小(  狭 )エ リア×高シェア×スピード

 小さな(狭い)エリアで高シェアとなれば効率もよく収益力も高まる。これが「地域一番店」。そこにスピード見積もり、スピード提案、スピード配送等、あらゆるスピードが加われば一段と優位性が高まる。速いは顧客から見ると「熱心」。知名度も抜群で何かあったときに顧客から最初に連絡が来るファーストコールカンパニーとなる。

7.総合から専門へ。スペシャリスト集団

 あれだけ強かった総合スーパー、総合電機はいまや見る影もない。「専門特化型」時代へ突入した。弁護士、会計士、税理士、でも特定分野での専門性がないと厳しい時代となった。資格制度を充実させ、より専門性の高い人材を育成することで利益率が圧倒的に高いビジネスモデルが確立できる。

8.粗利益率の低い商品ほど価格転嫁は難しい

 キーエンスの粗利益率は80%前後。間違いなく価格転嫁は順調に進むはずだ。逆に粗利益率の低い商品は付加価値が低く、どこからでも仕入れられる。競争は厳しく価格転嫁どころか、価格を下げてくれと言われる始末。自社商品やPB商品等、粗利益率の高い商品開発が今後、肝となる。

■顧客の真の要望を満たしているかを考えよう

 安売りとは低粗利益率のことだ。何より安売り日本一の企業は存在しない。薄利では上昇するコストを吸収できない。いま最も重要な事は顧客の真の要望、お困りごとを引き出すことである。それをトコトン追求することだ。究極、そうすることで吸収力高い組織となる。ビジネスモデルとは顧客志向から生まれる。だからこそ価格転嫁が可能となり、価格主導権が取れる。それは本物の顧客視点に立った企業だけが実現できる。

ワンポイントトーク
【会社は利益が無ければ存続できず。顧客志向を追求し、価格主導権を握れ!! 】

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