<strong>リーダーのマネジメント能力を問う</strong>

リーダーのマネジメント能力を問う

2023/02/01

リーダーのマネジメント能力を問う

■能力の差より意識の差が大きい

 京セラ創業者の稲盛さんの有名な言葉。「仕事の結果=能力×熱意×考え方」。能力がいくら高くても熱意がなければ結果は出ないと言うことだ。能力が100点、熱意が30点だと3000点。能力が60点、しかし熱意が100点とすると6000点。そこに方向性が異なったり、考え方が他責であると、マイナスに作用する。結果を出すには素直、誠 実、努力、熱意、前向き、明るさ、感謝と言った心のスキルが最も大切だ。そこが根付いていなければ、どんなに素晴らしい戦略や施策を打ち出しても絶対に結果は上がらない。先を見通せない時代だからこそ働く意義、仕事に取り組む姿勢の重要性を考えて頂きたい。

■人的資本経営とは人の能力を最大限引き出すこと

 上場企業では2023年の会計から人的資本情報の開示が義務化される。人をコストと見るのではなく、成長するための資産とみなす。社員一人ひとりのモチベーション、やりがい、ロイヤリティーなどを数値化。もう一つが制度。定着 率、働く環境、資格取得などの基準を作り数値化する。その二つを組み合わせ人材の付加価値を算定。社員の人材価値が5億とすると、資産の部に5億円の人材価値があると投資家は判断する。特許、商標登録と同じく人材価値も無形資産として評価されるわけだ。

■部下の能力を引き出すための実践マネジメントとは?

 マネジメントとは目標を定め人を束ねて、結果を出すことである。今後、幹部、リーダーの差が圧倒的な業績の差となる。その幹部、リーダーが実践で次の9点のマネジメントを強烈に押し進めることで目標達成が可能となる。

1.仕事に対する姿勢を指導するマネジメント

 これこそ単純明快。上に立つ人間の仕事への向き合い方 だ。率先垂範、有言実行。頭の汗(考える)、心の汗(顧 客、部下を想う)、身体の汗(自ら行動)3つの汗をかかない限り部下には響かない。どんなに良いことを言っても言葉の重みが、部下をその気にさせるレベルに到達していないのだ。多くのコンサルティング先に出向くが、仕事に対する姿勢を指導できないのは100%リーダー自身の問題。口先ばかり。言っていることとやっていることが違う。部下は繁忙期で休日出勤するもリーダーはしっかり週休2日。あなたは思い当たらないか?

2.危機感を強く持つ人材を育てるマネジメント

 世の中が一層厳しく、そして格差が拡大する中、気楽に気ままに生きていきたい。このような考え方を持つ人間も事実存在する。決して否定はしない。しかし、これでまともな生活ができるのか?食っていけるのか?疑問に思う。崇高な表現だと仕事とは世のため、人のためである。現実は生活を守らなければいけない。そこが最優先。それにはまず会社が利益を出すことだ。利益の分配ではじめて社員が恩恵を受け る。利益なくして分配は無しである。

3.モチベーションを上げるためのマネジメント

 人は誰しも結果を出すとモチベーションは上がる。部下一人ひとりがどうしたら結果がでるのか?そのプロセスを具体的に指導するのがリーダーのマネジメントとなる。過去に比べて成長を実感すると更にモチベーションは上がっていく。様々な企業で理想のリーダー像を問うと、意外にも優しいリーダーではない。自らを成長させてくれるリーダーが圧倒的一位である。

4.人間力を高めるマネジメント

 「才あって徳足らず」では生産性が上がることはない。徳

とは人間性、品格、気配り、礼儀礼節を言う。その人間力 を高めるために必要なことはズバリ躾である。大谷選手が野球場で落ちていたゴミをさりげなく拾う。サッカーワールドカップの日本代表のロッカールームが綺麗に清掃されてい た。多くの人が共感したはずだ。リーダーは日常業務で

「親心」を持って部下に接することが大切となる。小言のように聞こえるが、その小言がないと人間力は身につかない。

5.決めたことを徹底してやり切るマネジメント

 「決めたことをやり切る」とは組織の風土による所が大きい。その風土はその部門の長、リーダーが全て創り上げる。決めごとは部下を巻き込み、納得させ出来るという裏付けを具体的に示す。そして決めたことに対してはリーダーは絶対に妥協してはいけない。妥協が緩みを生み、緩んだら業績は上がらない。気になったことは即、部下に確認する。部下からの報告を待っていては、時すでに遅しだ。

6.部下一人ひとりの個性を把握した上でのマネジメント

 優秀リーダーは部下の性格、長所、短所を鋭く見抜く。部下は思うようには動かない。その人間の個性、特長を活かしたマネジメントも必要だ。営業力は抜群、しかし事務処理が苦手。この場合は優秀な女性アシスタントをつける。地頭は良い、しかしプライドが高く理屈っぽい。このタイプは企画や分析を中心とした業務をやってもうらう。時には厳しく、時には優しく。任せる勇気と任せてはいけない判断。人見て法とけ。緩急自在のマネジメントが必要。

.業務の数値分析でデータに基づくマネジメント

 売上が好調だった時期の商品、顧客がどうであったか?必ず伸びたポイントがある。それを参考にいまの市場に合う戦略を考え、実行する。業務の数値分析とは例えばトラック一台当たりの一日の配送件数、一回の配達額を分析。一日10件の配送で一件当たり5万円だと一か月22日稼働で1100万円。それを一日当たり6万円の配達だと1320万円となり120%アップとなる。そのために何をやるのかを徹底的に議論する。商売とは理論、裏付けに基づいた実践こそ強い。数字は正直、事実であり、嘘をつかない。

8.生産性を上げるマネジメント

 生産性とは社員一人当たりの稼ぎを言う。具体的に言うと社員一人の月間の粗利益だ。メーカーで社員一人当たり130万円。販売会社、流通業だと100万円の粗利額を死守しないと安定した利益は叩き出せない。生産性を高めるためには①準備段取りの徹底②計画の徹底③実行の徹底④フォローの徹底⑤反省の徹底。この5つの徹底が重要。生産性の低い組織はそこがあきらかに甘い。

.原価意識を持った社員を創るマネジメント

 目標未遂、業績低迷部門はとにかく原価意識が低く、数値に弱い。商売は想いとソロバン。どんな想いがあってもソロバン、つまり数値に弱ければ受注率、契約率そして粗利益率までも低く、全く儲からない。まずやることは部下一人ひとりの実績への数値確認だ。先月の売上実績は?先月の粗利益率は?こんな事も頭に入っていない。しかし奥さんや、子供の誕生日はしっかり頭に入っている。

■リーダーの本気の仕事が人を動かす

 感情ムキ出しで厳しい事を言うと、それこそパワハラ扱いされる。しかし本気になったリーダーの厳しい指導は怒る、叱る、とは全く別物。緊張感漂い、やらなければならないという意識になる。それこそ人を束ね、結果を出すマネジメントの真骨頂。今年はリーダーの差が業績の超格差の年にな る。       (株式会社経営支援センター 国吉拡)

ワンポイントトーク
【部下は役職では動かない。リーダーの“いまの”実力(仕事の結果)で部下は動く。率先垂範、有言実行を徹底せよ!】

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