速いではなく早い。タイムマネジメントの重要性

速いではなく早い。タイムマネジメントの重要性

2023/01/10

速いではなく早い。タイムマネジメントの重要性

    私はお世辞にも仕事が「はやい」とは言えません。あれこれ悩むうちに、納期ギリギリに。また、実際に業務に取り掛かっても時間がかかってしまいます。「グズ」で「トロい」のでしょう。

  「スピード」はお客様には「熱心」と映り、スキル不要の差別化術となります。事実ですが、誤解を生むとも言えます。なぜなら、英語の「speedy」は、動作そのものが「速い」ことを意味します。仕事で言うと、「この業務は1時間はかかりそうだが、頑張って45分で終わらせよう」などの意味。対して、「early」は時間やレスポンスが「早い」ことを意味します。そもそも、業務の「スピード」は習熟度に拠るところが多く、限界があります。それよりも仕事の段取りを改善し、効率的に時間を使う「タイムマネジメント」こそが、お客さまへの「早い」対応へとつながります。今回はタイムマネジメント(段取り術)について解説します。

「速く!速く!速く!もっと動きをスピーディに!」

  

    前回に引き続き、食品卸売業A社、総務課での一コマです。2年目社員の加藤君への鈴木係長の指導の言葉が飛び交っています。「もっと動きを速く!スピーディに仕事をこなして!それではとても納期に間に合わない」加藤君なりに頑張ってはいるのですが、要領を得ないのか、なかなかはかどりません。

    人事課の中山課長は鈴木係長に対し、アドバイスをしました。「もちろん、仕事を進めるスピードも重要なのですが、まずは段取り、基本的なタイムマネジメントの知識を教えてあげることを優先した方が良いかもしれません。」

解説 

    仕事における「はやさ」とは、動きの「速さ」ではありません。あくまでもレスポンスの「早さ」です。では、レスポンスを上げる効果的な時間の使い方はどのようにすれば良いのか、それが次の通りです。

1.まずは量をこなして「スピード」を上げる

    スピードではない、と言いながらもやはり、スピードも重要。しかしながら、動きを意識すれば焦りが生じミスが増大する。まずは習熟度を高めるために圧倒的な行動の量が必要。量をこなすことで上達し、後からスピードはついて来る。

2.時間に対する意識を高める

①業務に取り掛かる前に時間を見積もる

    与えられたタスクにいきなり取り掛かるのではなく、かかる時間はどのくらいかを見積もる。見切り発車による段取り崩壊を防ぐ。

②時計を見る前に時間を予測する

    「メール5通書くのに〇〇分経過したかな?」と時計を見る前に、どれくらいの時間が経過したかを予測する。自身の仕事のスピードを把握することができ、時間の見積りの精度が上がっていく。

③なるべく決断を早くする

   一般的に、年間で「探す、悩む」時間は1,000時間(6週間)と言われる。決断のスピードを上げることは時間の余裕を生む。

3.仕事を固まりで捉え、スケジュールに落とし込む

①余裕を持ったスケジューリング

    与えられた業務にかかる時間を見積もった後はスケジュールに落とし込む。ポイントは見積りの約1.5倍の時間を確保すること。急な依頼ややり直しが発生するという前提のもと、余裕を持つことが重要。間違っても「頑張って終わらせる」スケジュールにしてはならない。

②すぐ終わる仕事への対応

    10分以内に終わる仕事はToDoリストやスケジュールに追加せず、その場で終わらせる。先延ばし行動はただのツケ。

4.納期は2つ

    上司から指示された納期やお客様から依頼された期限はあくまでも目安の納期であり、デッドライン。自分で前倒しの納期を設定することで、納期に追われる可能性が低くなる。

5.出来る限り仕組み化する

    例えば、新規の問い合わせに対する回答メールをゼロから組み立てる必要はない。あくまでもテンプレートを利用・アレンジするだけで良い。出来る限り繰り返しの業務は仕組み化する。

6.相手に振り回されないよう主導権を握る

    社内でも社外でも自分でスケジュールの主導権を握る。営業であれば電話を掛けるのは良いが、かかってくる電話が多い担当者は業績が伸びていない。事前に情報提供、発信が出来ておらず、相手に振り回されたスタイルだ。

7.仕事の取り掛かりが肝心

    夏休みの宿題と同じ。取り掛かるまでは時間がかかるが、スタートさえできれば何とかなる。その目安はスタートからの4分間。まずは、最初の4分間を集中し、業務を始めると不思議なことに30分、1時間と集中力は継続できる。

8.大きな目標・タスクは出来る限り細分化する

  大きな目標よりも、なるべく細分化した方がイメージしやすく取っつきやすい。年間2,000件ではなく、1日7件の訪問目標。

中山課長の話をきいた鈴木係長は、まずはタイムマネジメントの基礎知識を加藤君に解説しました。段取りを一つずつこなすことで、次第にこなすスピードが上がり、納期に余裕を持った仕事の進め方が可能となりました。

ポイント

    「速い」よりも「早い」。スピードは後からついてくる。まずはタイムマネジメントを着実にこなすことで仕事に余裕が生まれ、素早いレスポンスが可能となる。

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